【保存版】特定建設業許可を確実に取得する方法_絶対に欠かすことのできない2つの要件とは?

相談者:鈴木さん(建設会社社長)

いま、一般建設業許可を持っています。この一般建設業許可を特定建設業許可に切り替えたいと思っています。

実は、近々、取引先から、今までにないくらいの「規模の大きい工事」を受注することになりそうです。調べてみたところ、「特定建設業許可が必要になる」ということでしたので、ぜひ、行政書士法人スマートサイドに許可取得手続きをお願いしたいのです。

回答者:行政書士(行政書士法人スマートサイド)

「いまお持ちの一般建設業許可を特定建設業許可に切り替えたい」のですね。承知しました。行政書士法人スマートサイドがとても得意とする手続きです。

特定建設業許可の前提知識とともに、特定建設業許可を取得するために必要な絶対に欠かすことのできない2つの要件をご説明させて頂きますね。

【1】特定建設業許可が必要な「工事」とは?

まず、相談者の鈴木社長は、「今までにないくらいの、規模の大きい工事を受注することになりそう」だとおっしゃっていました。そのため、現在保有している「一般建設業許可」を「特定建設業許可」に切り替える必要性に迫られているようです。

それでは、「特定建設業許可が必要な工事」とは、どういった工事のことを言うのでしょうか?なんとなく、金額の大きい工事、規模の大きい工事には、一般建設業許可ではなく特定建設業許可が必要であるというイメージをお持ちの人も多いと思いますが、ここでは、特定建設業許可を取得するための要件を説明する前に、どういった場合に特定建設業許可が必要になるのか?について、解説をしていきたいと思います。

特定建設業許可が必要になる工事とは、以下の工事を言います。

内容 詳細
立場 元請として
金額 下請に4500万円以上(建築工事の場合には、7000万円以上)の工事を発注

元請として

特定建設業許可が必要になる工事は、御社が「元請」の立場で受注する工事です。発注者から直接受注する元請工事の場合に、特定建設業許可が必要になる可能性があります。

仮に御社が「下請」の場合(一次下請けでも二次下請けでも同じ)には、どんなに「金額の大きい工事・規模の大きい工事・工期の長い工事」を請負ったとしても、特定建設業許可は必要ありません。

特定建設業許可が必要になるケースとして、まずは、「元請」として受注する工事であることを、理解してください。

下請に4,500万円以上

上記のように、元請として工事を受注したとしても、それだけで、特定建設業許可が必要になるわけではありません。「元請=特定建設業許可が必要」というわけではないのです。

特定建設業許可が必要になるのは、元請として工事を受注した場合で、かつ、下請に4,500万円以上(建築工事の場合には、7,000万円以上※以下省略)の工事を発注する場合です。

より具体的に詳しく見ていきましょう。

(注意点1)

注意点としては、元請として受注する際の請負金額を基準に考えるのではなく、元請として下請に発注する際の請負金額が基準になります。例えば、元請として3億円の工事を受注したとしても、<下請を利用しない場合>や、<下請を利用したとしても下請に発注する金額が2,000万円だった場合>には、「下請に4,500万円以上」という条件に当たらないため、特定建設業許可は必要ないという判断になります。

元請として受注した工事の額 下請との取引状況 特定建設業許可の必要性

元請として発注者から

3億円の工事を受注

すべて自社で施工 特定許可必要なし
2,000万円を、下請に発注 特定許可必要なし
4,500万円以上、下請に発注 特定許可必要あり

(注意点2)

また、複数の下請がいる場合、「一部の下請に発注する金額が4,500万円を越えるか否か」が基準になるのではなく、「すべての下請に発注する金額が4,500万円を越えるか否か」が基準になります。

例えば、御社が元請ととして1億円の工事を受注したとします。それぞれ「下請のA社には2,000万円の工事」を「下請のB社には3,000万円の工事」を発注したとします。この場合、「A社には4,500万円未満(=2,000万円)、B社にも4,500万円未満(=3,000万円)の工事しか発注していないので、特定建設業許可が必要ない」というわけではありません。

「A社とB社に対して5,000万円の下請工事を発注している」つまり、元請として、「下請に対して4,500万円以上の工事を発注している」ことになるので、「特定建設業許可が必要である」ということになります。

(注意点3)

注意点の3つ目は、材料費についてです。特定建設業許可の制度は、下請負人を保護するために設けられた制度です。そのため、元請人が提供した材料費は、4,500万円という金額のなかには含めないで考えます。特定建設業許可が必要か否かの基準である4,500万円の金額の中には、元請人が提供した材料費は含まれません。

(注意点4)

当初の下請契約の合計額が4,500万円未満であったものの、後に、4,500万円以上に契約変更になった場合には、契約の変更がなされる前に、一般建設業許可を特定建設業許可に切り替えなければなりません。

相談者の鈴木社長は、「取引先から、今までにないくらいの規模の大きい工事を受注することになりそう」とおっしゃっていましたが、この工事が、鈴木社長の会社が元請として受注し、かつ、下請に4,500万円以上の工事を発注するくらい規模が大きい場合、鈴木社長の会社は、特定建設業許可を取得しなければなりません。

一般建設業許可しか持っていないのに、このような工事を受注した場合、建設業法違反となってしまうので、注意が必要です。

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【2】特定建設業許可を確実に取得するための豆知識

「特定建設業許可が必要になる工事」は、理解できましたか?相談者である鈴木社長は、「今までにないくらい規模の大きい工事を受注することになりそう」と話していましたが、鈴木社長の会社が受注する工事が「元請」で「下請に4.500万円以上の工事を発注する場合」には、至急、特定建設業許可を取得することが必要です。

鈴木社長からは、面談の際に、以下のような質問もありました。特定建設業許可を確実に取得するための豆知識として、記載させて頂きますので、ぜひ、みなさんも参考にしてみてください。

1:会社設立後、すぐに特定建設業許可を取ることができる

特定建設業許可は、会社設立後、すぐに取得することができます。あとで、説明するように特定建設業許可を取得するには、4つの財産的要件があります。そのため、会社を設立してから、すくなくとも1回は、決算を迎えて税務申告を終え、財務諸表が出来上がってきてからでないと、特定建設業許可を取得できないと勘違いしている人もいます。

ですが、そんなことはありません。

  • 「資本金2,000万円以上+資本準備金2,000万円以上」の会社を設立する
  • 「資本金4,000万円以上」の会社を設立する

といったように、資本金の額や資本準備金の額に注意する必要はありますが、経営業務管理責任者といった建設業許可を取得するための要件のほか、財産的要件+技術者要件といった特定建設業許可を取得するための特殊な要件を具備すれば、会社設立後すぐにでも、特定建設業許可を取得することは可能です。

2:過去に工事実績がなくても、特定建設業許可を取ることができる

特定建設業許可が必要になる工事とは「元請として下請に4,500万円以上の金額を発注する工事」でした。このように特定建設業許可が必要になる工事は、下請を多数利用する規模の大きい工事であるため、過去に工事の実績がないと、特定建設業許可を取得することができないと思っている人もいるようです。

しかし、それは、明確な誤りです。

特定建設業許可を取得するための要件をきちんと満たしていれば、過去に工事実績がなくても(=工事の経験が「ゼロ」でも)、特定建設業許可を取得することはできます。例えば、弊所では、工事実績のまったくない「不動産販売会社」や「建築設計会社」で、東京都の特定建設業許可を取得した成功事例があります。

もちろん、特定建設業許可を取得した後、実際に、取引先から大規模工事を受注し施工するには、過去の経験や工事の実績がものを言うでしょう。しかし、特定建設業許可を取得できるか否か?という点についていうと、工事の実績がなくても特定建設業許可を取得することはできてしまうのです。

3:一般建設業許可がなくても、特定建設業許可を取ることができる

冒頭の相談者、鈴木社長の場合のように、一般建設業許可を持っている会社が、一般建設業許可を特定建設業許可に切り替えることが通常です。「数年前に、一般建設業許可を取得したものの、何年か経過していくうちに、元請として工事を受注するようになり、金額も大きくなってきた。複数の下請さんにも手伝ってもらうようになってきた。そのため、特定建設業許可が必要です」というパターンが多いです。

しかし、一方で、一般建設業許可を取得してからでないと、特定建設業許可を取得できないわけではありません。「1」「2」と同じ説明になりますが、特定建設業許可を取得するための要件を満たしていれば、特定建設業許可を取得することができます。一般建設業許可を経てからでないと特定建設業許可を取得できないわけではありません。

もちろん、通常は、一般建設業許可を持っている会社が、一般建設業許可を特定建設業許可に切り替えるケースが圧倒的に多いですが、一般建設業許可を経ずに、いきなり特定建設業許可を取得することもできます。

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【3】特定建設業許可を取得するための財産的要件

特定建設業許可が必要になる工事を、きちんと理解できましたでしょうか?「元請」として「下請に4,500万円以上の工事を発注する」場合に、特定建設業許可が必要になるのでしたね。相談者である鈴木社長のおっしゃる通り、かなり規模の大きい工事であるということができそうです。

それでは、鈴木社長のように「一般建設業許可」を「特定建設業許可」に切り替える際には、どういった要件が必要になるのでしょうか?ここでは、【財産的要件】と【技術者要件】のうち、財産的要件について、解説をしていきたいと思います。

財産的要件の計算式

項目 計算式
(1)欠損比率 {繰越利益剰余金の負の額-(資本剰余金+利益準備金+繰越利益剰余金を除くその他利益剰余金)}÷資本金×100≦20%
(2)流動比率 (流動資産合計÷流動負債合計)×100≧75%
(3)資本金額 資本金≧2,000万円
(4)自己資本

純資産合計≧4,000万円

特定建設業許可を取得するには、上記のように「(1)欠損比率20%以下、(2)流動比率75%以上、(3)資本金2,000万円以上、(4)純資産合計2.000万円以上」の全てを満たさなければなりません。「(1)~(4)のいずれか」ではなく「(1)~(4)のすべて」を満たす必要があります。なお、欠損比率については、繰越利益剰余金がある場合には(1)の要件を満たしているので、計算式を用いる必要はありません。

財産的要件はいつを基準に判断するか?

特定建設業許可を取得するための「財産的要件(1)~(4)」については、理解できましたでしょうか?(1)については、繰越利益剰余金の額がポイントになります。(2)については、貸借対照表の上の方にある流動資産・流動負債が、(3)については登記簿謄本に記載されている資本金の額、(4)については貸借対照表の純資産の合計額が、それぞれ、チェックのポイントになります。

それでは、(1)~(4)の財産的要件は、いつを基準に判断するのでしょうか?言い換えると、いつの会社の財務状況を基準に判断すれば良いのでしょうか?

相談者の鈴木社長は、「近々、取引先から、今までにないくらいの規模の大きい工事を受注することになりそう」と言っています。「近々」という表現が、3か月後なのか?半年後なのか?1年後なのか?によって、特定建設業許可取得の可能性が大いに変わってくるかもしれませんね。

項目 判断材料・判断材料
(1)欠損比率 直近の確定した決算の財務諸表
(2)流動比率 直近の確定した決算の財務諸表
(3)資本金額 直近の確定した決算の財務諸表(もしくは、特定建設業許可申請時点の登記簿謄本の資本金額)
(4)自己資本 直近の確定した決算の財務諸表

上記の表をご覧ください。(1)~(4)の項目について、要件を満たしているか否かの基準日は、直近の確定した決算の時点になります。例えば、3月末決算であれば、3月31日時点。12月末決算であれば、12月31日時点。仮に御社が、東京都の建設業許可をすでに持っている場合には、東京都建設業課に提出している直近の決算報告書の中にある財務諸表を基準に判断します。

その時点の財務諸表において、(1)~(4)を満たしていることが必要です。但し、「(3)資本金」については例外があります。「(3)資本金」については、直近の確定した決算の時点で、2,000万円未満であったとしても、申請時点までに登記簿謄本を変更し、2,000万円以上にしておけば、問題ありません。

財産的要件を満たさなかった場合

それでは、(1)~(4)の財産的要件を満たさなかった場合、どうすれば良いでしょう。例えば、3月末決算の会社の場合。通常であれば、5月末までに決算が確定し、税務署への申告も済ませて、6月上旬ころに、税理士の先生から財務諸表を受け取ることになるでしょう。その時の財務諸表で上記(1)~(4)の要件を満たしていれば、特定建設業許可を申請することができます。

一方で、その時点(5月末に決算が確定した時点)で、(1)~(4)の財産的要件を満たしていなかった場合。財産的要件を満たしていない以上、特定建設業許可を取得することができません。次回の決算までに、何らかの形で財務状況を改善し、特定建設業許可の要件を満たすように工夫しなければなりません。通常は、翌年の3月末決算まで、特定建設業許可を取得することができません。

もっとも、鈴木社長のように、どうしても急いで特定建設業許可を取得したい場合には、3月末時点では、財産的要件を満たしていなかったので、決算期を変更し(例えば3月末決算から9月末決算に変更し)、9月末時点で、(1)~(4)の条件をクリアしたうえで、特定建設業許可を取得するという方法も取ることができます。

この場合、「決算期を変更してまで、特定建設業許可を取らなければならないのか?」という判断に迫られることになるでしょう。決算期を前倒しし、特定建設業許可の(1)~(4)の財産的要件をクリアしたうえで、特定建設業許可取得に踏み切るのか?それとも、次回(翌年)の決算まで待ったうえで、特定建設業許可取得をおこなうのか?重要な判断を迫られることになります。

なお、弊所では、公共工事を受注するために、決算期を5月末決算から7月末決算に変更したうえで、特定建設業許可の取得に成功した実績もあります。

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【4】特定建設業許可を取得するための技術者要件

特定建設業許可を取得するための財産的要件は、直近の確定した決算のタイミングで満たしているか否かを見極める必要があります。「(3)の資本金額」のみ、直近の確定した決算で満たしていなかったとしても、申請時点の登記簿謄本で2,000万円以上あることが確認できれば問題ありませんでした。

ところで、特定建設業許可を取得するために絶対に欠かすことのできない要件は、もう1つあります。それは、「技術者の要件」です。仮に相談者の鈴木社長の会社が、財産的要件を満たしていたとしても、技術者の要件を満たしていなければ、特定建設業許可を申請することはできないのです。

必要になる技術者の要件

特定建設業許可を取得する際に必要な技術者の要件は、おおむね以下の3つのパターンに分けることができます。

1級資格者

まず、特定建設業許可を取得する際に必要な要件として挙げられるのが、1級の国家資格です。以下の表にある通り、1級の国家資格者がいる場合には、その資格に該当する業種の特定建設業許可を取得することが可能になります。

国家資格名 業種名
1級建設機械施工管理技士 (土)(と)(舗)
1級土木施工管理技士 (土)(と)(石)(鋼)(舗)(しゅ)(塗)(解)
1級建築施工管理技士 (建)(大)(左)(と)(石)(屋)(タ)(鋼)(筋)(板)(ガ)(塗)(防)(内)(絶)(具)(解)
1級電気工事施工管理技士 (電)
1級管工事施工管理技士 (管)
1級電気通信施工管理技士 (通)
1級造園施工管理技士 (園)
1級建築士 (建)(大)(屋)(タ)(鋼)(内)
  • このほかにも、技術士法の「技術士試験」の登録証を持っている人も、特定建設業許可の専任技術者の要件を満たす可能性があります。

監理技術者資格者証

1級の国家資格を持っていなくても、「監理技術者資格者証」を持っている人がいます。実務経験を証明して「監理技術者資格者証」を交付してもらったようなケースです。この場合、仮に1級の国家資格を持っていなかったとしても、「監理技術者資格者証」を持っていることを理由に、特定建設業許可の技術者として認めてもらうことができます。

指導監督的実務経験

1級国家資格がなく、かつ監理技術者資格者証もない場合。特定建設業許可の技術者要件を証明することはかなり難しいでしょう。但し、指導監督的実務経験を証明することによって、特定建設業許可を取得する可能性がないわけではありません。「指導監督的実務経験」とは、建設工事の設計又は施工の全般について、元請として工事現場の主任又は工事現場監督のような立場で、工事の技術面を総合的に指導した経験です。

指導監督的実務経験を認定できる工事は、以下の通りです。

  • 発注者から直接請負う工事であること(元請工事)
  • 請負代金の額が4,500万円(税込み)以上であること
  • 経験期間は、工期の合計が2年以上

指導監督的実務経験を認めてもらうためには、工事請負契約書や施工体系図の提出を求められる場合もあり、非常にハードルが高いのが現状です。また、「土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園」の7つの業種(指定建設業という)については、指導監督的な実務経験では、特定建設業の専任技術者になることができません。

必要になる技術者の書類

特定建設業許可の専任技術者として認められるためには、1級国家資格、監理技術者資格者証、指導監督的実務経験が必要な他に、申請会社の常勤であることを証明するために、以下のいずれかの書類が必要になります。

  • 健康保険証(事業所名がわかるもの)
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者に関する標準報酬決定通知書
  • (70歳以上の場合)厚生年金保険70歳以上被用者該当及び標準報酬月額相当額のお知らせ
  • 資格取得確認及び標準報酬決定通知書
  • 住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)  など

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【5】特定建設業許可取得の具体的事例

ここまでの説明で、特定建設業許可を取得するために、絶対に欠かすことのできない2つの要件はご理解いただけましたでしょうか?

要件 詳細
財産的要件
  1. 欠損比率
  2. 流動比率
  3. 資本金額
  4. 自己資本額
技術者要件
  1. 1級国家資格者
  2. 監理技術者証
  3. 指導監督的実務経験

この2つの要件をクリアできれば、特定建設業許可を取得できる可能性は、高まります。ページ冒頭で説明したように、特定建設業許可を取得できれば「元請」として「4,500万円以上の工事を下請に発注」することができるわけですから、規模の大きい工事をどんどん受注して、売上高を上げていくことができそうです。

以下では、実際に弊所サービスをご利用いただき、特定建設業許可を取得できた具体例を、いくつかご紹介させていただければと思います。

1級の国家資格者を採用したケース

まずは、社内に1級の国家資格者を持っている人がいない会社のケースです。このような場合には、技術者要件を満たす人を採用するのが、「手っ取り早い選択肢」ということができます。この会社は、自社内には1級の国家資格を持っている人がいませんでしたが、グループ会社の中に1級の電気工事施工管理技士の資格者がいました。そこで、その人を自社の技術職員として採用し、健康保険に加入してもらい、専任技術者として、特定建設業許可を取得することに成功しました。

注意すべき点は、たとえグループ会社であったとしても、「健康保険をはじめとした社会保険に加入してもらうこと」です。専任技術者は申請会社の常勤の社員でなければなりません。申請会社に常勤していないのに、専任技術者になることはできません。このように技術者要件を満たす人を採用する場合には、雇用契約を結んだうえで、給料をきちんと支払い、その給料から社会保険料や住民税などを天引きするようにしなければなりません。

この会社のように、自分の会社の社員では技術者要件を満たさない場合に、外部から人材を招聘・採用し、専任技術者になってもらうというパターンは、よくあるパターンです。

決算期を早めて特定建設業許可を取得したケース

区の公共工事を落札するために、どうしても特定建設業許可が必要な会社がありました。この会社は、3月末決算です。しかし、前回の決算の時点で、財産的要件を満たしていませんでした。この場合、本来であれば翌年の3月末の決算まで待って、(1)~(4)の財産的要件を充足したうえで、特定建設業許可を取得しなければなりません。

しかし、それだと、区の公共工事の工期に間に合いません。区の公共工事は9月の下旬から始まります。そのため、9月の下旬には、特定建設業許可が必要です。来年の3月末の決算が確定することを待っていたのでは、区の公共工事を受注することはできません。

そこで、3月末の決算確定後、決算期を翌年3月末から今年の7月末に変更し、7月末の時点で(1)~(4)の財産的要件を充足させるように調整しました。「決算期をいつにするか?」は、会社の自由です。1度、決算期を3月末に決めたからといって、ずっと3月末のままでいなければならない理由はありません。会社の事情に応じて、決算期を変更することは自由なのです。

このように、公共工事に限らず、「大きな工事の工期が迫っているため、急いで特定建設業許可を取得しなければならない」という場合には、決算期の変更も視野に入れて、柔軟に対応するとよいでしょう。

あえて子会社を設立して特定建設業許可を取得したケース

最後のケースは、今ある会社ではなく、あえて子会社を設立し、子会社設立後すぐに特定建設業許可を取得したケースです。この会社の社長は、以前から子会社の設立を検討していました。「機械設備の保守・点検や設計・運用」と「工事の請負」とを、別々の会社に分けたかったようです。

親会社で特定建設業許可を取得するには、資本金と純資産額が足りず、資本金を2.000万円以上に増資したり、純資産額を積み上げたりする必要がありました。しかし、親会社でそのような手続きを行うと、株主からの意見を聞かなければならず、迅速に特定建設業許可取得に踏み切れないという事情があったそうです。

そこで、前々から検討していた子会社を設立し、設立した子会社で特定建設業許可を取得することになりました。このように、子会社を設立して、子会社で特定建設業許可を取得するというパターンもありますので、財産的要件の充足に苦労している会社の社長さんは、ぜひ、参考にしていただければと思います。

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【6】特定建設業許可を取得したいとお考えのみなさまへ

みなさんが、「特定建設業許可を取得したい」理由は何ですか?

  • 取引先から、特定建設業許可の取得を求められている
  • 公共工事に参加する際に、特定許可の取得が条件になっている
  • 発注者から、いままでにないくらい大きい工事の依頼があった

というように、理由はさまざまだと思います。

それでは、いつまでに特定建設業許可を取得したいですか?逆に、いつまでに特定建設業許可を取得しなければならないのですか?

「1年後、もしくは2~3年後をめどに…特定建設業許可を取得できれば、それでよい」というのであれば、それで構いません。ですが、このページをご覧になられている人のほとんどが、「遅くても半年後」「できれば2~3か月後」といったように、至急、特定建設業許可を取得する必要があるのではないでしょうか?

冒頭にご紹介した鈴木社長も、そのうちの1人です。工期が迫っていたので、出来るだけ早く特定許可を取得したいという理由から、ホームページの記載が充実していて、専門知識と経験が豊富な弊所を、お選びいただいたとのことです。その後、鈴木社長の会社は、無事、特定建設業許可を取得することができました。

弊所では、「1級の資格者を外部から採用して特定建設業許可を取得したケース」はもちろんのこと「過去に工事実績のない会社の特定建設業許可取得」や「会社設立後、数か月での特定建設業許可取得」の実績など、特定建設業許可取得に関するさまざまな実績があります。とくに、急ぎ対応やスピードが求められる申請手続きをとても得意としています。

もし、特定建設業許可を急いで取得しなければならいないという場合には、下記、問い合わせフォームから、行政書士法人スマートサイドまで、ご連絡下さい。

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