このページは、東京都の建設業許可の申請に関する専門家である行政書士法人スマートサイドが、建設業許可を取得した後に提出が義務付けられている「決算報告(決算変更届)」の提出について記載したページです。
建設業許可を取得したものの、「変更届の提出」や「決算の報告」をどうやって行えばよいかわからないという人のために記載しました。ぜひ、参考にしてください。
決算変更届を提出できていますか?
突然ですが、決算変更届(事業年度終了届/決算報告)は、きちんと提出できていますか?決算関連の届出というと、真っ先に、税務署に提出する税務申告を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、建設業許可業者は、税務署に提出する税務申告のほかに、許可行政庁に対して決算ごとに決算変更届を提出しなければなりません。事業年度終了届/決算報告などといった、言い方もされますが、ここでは、「決算変更届」という表現に統一します。
このページでは、建設業者の方から、決算変更届について、よくある質問・問い合わせを以下の5つに分けて、記載しました。決算変更届の提出について、意外とわかっていらっしゃらない建設業者の方も多いようですので、ぜひ参考にしてみてください。
第1章 決算変更届とは?
そもそも、決算変更届とは、何なのでしょうか?
決算変更届(事業年度終了届、決算報告)は、建設業許可業者が許可行政庁に提出する「変更届」の一種です。建設業許可を新規で取得した際、皆さんは、東京都庁や埼玉県庁や国土交通省(関東地方整備局)といった役所に、さまざまな書類を提出して、やっとの思いで、建設業許可を取得したことと思います。
皆さんが取得した建設業許可は、取得したらそれで終わりではありません。建設業許可を取得した後は、取得した許可を維持するために様々な届出が必要になります。例えば
- 取締役に変更があった場合には、取締役の変更届
- 本店所在地に変更があった場合には、本店所在地の変更届
- 資本金に変更があった場合には、資本金の変更届
- 経営業務管理責任者や専任技術者に変更があった場合には、その旨の変更届
といったように、会社の重要事項に変更があった場合には、変更届を提出するように法律上、求められています。決算変更届は、上記の変更届の一種であるとお考え下さい。
建設業許可を取得した建設業者は、取締役の変更や本店所在地の変更といった会社の重要事項に変更があった場合と同様に、決算を迎えたら、決算変更届の提出もしなければならないのです。
第2章 どこに、何を、いつまでに?
決算変更届の提出が、建設業許可業者に課せられた法律上の義務であることは「第1章」で記載しましたが、具体的には、「どこに」「何を」「いつまでに」提出すればよいのでしょうか?
どこに?
建設業許可業者は、決算変更届を許可行政庁に提出しなければなりません。東京都知事許可業者であれば、東京都庁。神奈川県知事許可業者であれば、神奈川県庁。埼玉県知事許可業者であれば、埼玉県庁。税理士が、税務署に提出している税務申告は、許可行政庁に提出する決算変更届とは異なりますの区別してください。
何を?
決算変更届を許可行政庁に提出するのが分かったとして、「何を」提出すればよいのでしょうか?東京都知事許可業者が東京都庁に提出する場合の具体例を下記に掲載します。
提出書類 | 概要 |
---|---|
別紙8:変更届出書 | 決算変更届の表紙に該当します。 |
二号:工事経歴書 | 許可業種すべてについて、事業年度内の工事(上位10件程度)の、「注文者」「工事名」「施工場所」「請負代金額」「工期」を記入します。 |
三号:直前3年の各事業年度における工事施工金額 | その名の通り、許可業種すべてについて、直前3年間の各事業年度における工事施工金額を、「元請(公共)」「元請(民間)」「下請」に分けて記載します。 |
<財務諸表> 様式第15号:貸借対照表 様式第16号:損益計算書 様式第17号:株主資本等変動計算書 様式第17号の二:注記表 |
いずれも、税理士作成の決算報告書の中にある財務諸表を「建設業法用」に書き直す必要があります。「税務申告用」の財務諸表をそのまま提出すればよいわけではないので、注意してください。 |
事業報告書 |
特例有限会社を除く株式会社のみ提出が必要です。 任意の様式で可。 |
納税証明書 |
知事許可の場合は、法人事業税納税証明書。 大臣許可の場合は、法人税納税証明書。 |
上記のように、さまざまな書類が必要です。工事経歴書の書き方や、直前3年の各事業年度における工事施工金額の入力については、細かな記載要領が手引きに掲載されています。
- 「工事経歴書の合計額」と「直前3年の各事業年度における工事施工金額」が一致しない
- 「直前3年の各事業年度における工事施工金額の合計」と「損益計算書の完成工事高」が一致しない
- 「損益計算書の完成工事原価」と「完成工事原価報告書の合計額」が一致しない
- 「損益計算書の当期純利益」と「株主資本等変動計算書の当期純利益」が一致しない
- 納税証明書や事業報告書を添付し忘れる
といったミスが非常に多いところです。
いつまでに
決算変更届を提出する際に、必要な書類は上記の通りです。では、上記の書類を許可行政庁に提出するとして、いつまでに提出すればよいのでしょうか?
決算変更届の提出期限は、「事業年度終了後4か月以内」と法律上、定められています。12月末決算の会社の場合4月末までに、3月末決算の会社の場合7月末までに、決算変更届を提出する必要があります。
第3章 決算変更届を提出しないとどうなる?
では、決算変更届を期限内に提出しないとどうなるのでしょうか?
建設業法第11条2項には、「….の書類を、毎事業年度経過後四月以内に、国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。」と規定されていますが、決算変更届を提出しないからと言って、罰則や処分があるわけではありません。そのため、建設業法第11条の2項は、努力義務を定めた規定ともいえそうです。
しかし、勘違いしないで頂きたいのは、罰則や処分がないからといって、決算変更届を提出しなくて良いわけでは決してありません。「何も言われないのであれば、出す必要がないのでは?」といった誤解をされている方も多いのですが、決算変更届は、出しても出さなくても良い書類ではなく、必ず提出しなければならない書類です。
以下では、決算変更届を提出していないことによって被る不利益を記載します。
建設業許可更新申請が出来ない
まず一番大事なのは、決算変更届を提出していないと、5年に1度の建設業許可の更新をすることができません。建設業許可を更新する際には、決算変更届の提出に漏れがないか、必ず、チェックを受けます。1期分でも漏れがあると、建設業許可を更新することができません。
業種追加や般特新規申請が出来ない
更新申請は5年に1回だから、更新前にまとめて5期分を提出すればよいとお考えになるかもしれませんが、決算変更届を提出していないと、業種追加や般特新規申請ができません。業種追加とは、現在持っている許可業種に新たに許可業種を増やすこと、般特新規申請とは、現在持っている一般建設業許可を特定建設業許可に変更することを言います。
業種追加申請も般特新規申請も、場合によっては、急いで申請しなければならないケースもあると思いますが、その際に、決算変更届の提出が1期分でも漏れていると申請を受け付けてくれません。
まとめて出したからと言って楽になるわけではない
私が最も声を大にして言いたいのは、「まとめて提出したからといって、楽になるわけではない」といった点です。決算変更届が「出しても、出さなくてもどちらでも構わない」書類であれば、「出さない方」が楽に決まっています。
しかし、決算変更届は「出しても、出さなくてもよい書類」ではなく、「建設業許可を維持する以上、遅かれ早かれ必ず提出しなくてはならない書類」です。更新申請の際に、過去5年分の決算変更届が必要になったり、業種追加申請や般特新規申請の際に、過去分の提出漏れが発覚したりすると、過去分に遡って、もしくは、複数年度にまたがって、決算変更届の提出が必ず、必要になります。
提出漏れがある過去分を、複数年まとめて提出するということは、第2章「何を」で記載した書類を複数年度分、準備しなければならないことを意味します。決して楽ではありません。そのような思いをするくらいなら、きちんと毎年、毎年、法律で定められた期間内に、提出しておいた方が、労力や負担が少なくて済むといえます。
第4章 弊所にご依頼頂いた場合の期間と費用
決算変更届は、時間さえかければ、手引きを見ながら、ご自身で作成・提出を行うことも可能です。しかし、時間がない方や書類作成が苦手な方にとっては、なかなか難しい部分もあると思います。決算変更届は、「ここの部分の数字と、ここの部分の数字が一致していなければならない」といったような記載のルールがあるので、数字に苦手意識のある方にとっては、書類作成の作業自体が苦痛に感じるかもしれません。
弊所では、そんな建設業者さまに代わって、決算変更届の提出代行も行っています。
ご依頼から提出までの一般的な期間
- 1週間程度
費用
- 1期分=5万円(+税)
決算変更届の提出が滞ってしまっているような方は、ぜひ、無理に処理しようとせず、行政書士のような専門家に外注することも検討してみてください。
第5章 決算変更届の提出で困っている事業者さまへ
決算変更届は、建設業許可業者が事業年度終了後4か月以内に許可行政庁に提出しなければなりません。建設業許可を維持するには、必ず提出が必要です。
- あとあとやればいい
- まとめて出せば良い
- 面倒だから後回し
という方もいますが、いずれ、必ず、提出しなければならない届出ですから、後回しにしていいことなんてありませんね。建設業許可関連の手続きを専門に行う弊所では、
- 後回しにした結果、更新期限に間に合わなかった
- 提出漏れがあったせいで、業種追加が大幅に遅れてしまった
- 複数年度分をまとめて準備したので、とても苦労した
といった建設業者をたくさん見てきました。いずれも、「面倒だから…」「出さなくても何も言われないから…」「後でやればいいから…」といった安易な判断が招いた結果と言わざるを得ません。
決算変更届の提出を後回しにしていいことは1つもありません。
もし、御社が「時間がないのでできない」「何とか処理したいけどやり方が分からない」といった理由で、決算変更届の提出に困っているのであれば、ぜひ行政書士法人スマートサイドまでご連絡ください。
複数年度分や急ぎ案件にも、十分対応可能ですので、安心してご連絡ください。皆様からのご連絡をお待ちしております。